ファミコン周辺機器@月面探査中

コントローラー、カセットケース、グッズなど ファミコン周辺機器の自由研究

懸賞の応募期間が確定 ー パウパウコンピュータ、チャルメラファミコン、ファミコンキャリングBOX、メッツライダー

1年ぶりの更新となりましたが、今回はオークションで大敗した腹いせ記念です。

 

本ブログで数回にわたりファミコン周辺機器の非売品を扱ってきましたが、不思議なことに有名なものほど詳細がわかっていない状況でした。そんな中で今回はパウパウコンピュータ、チャルメラファミコンファミコンキャリングBOX、メッツライダーについて深掘りした結果の報告です。4点とも懸賞として世に出たわけですが、応募期間がいまいち確定できていませんでした。

*これらの詳細については、世に知られていなかった情報をある程度まで発掘できているので過去記事をご参照ください。

 

パウパウコンピュータ 

https://bigafrodogg.hatenablog.com/entry/2019/10/28/041554

チャルメラファミコン 

https://bigafrodogg.hatenablog.com/entry/2022/03/24/022911

明星特製ファミコン・キャリングBOX

https://bigafrodogg.hatenablog.com/entry/2019/11/04/181408

メッツライダー

https://bigafrodogg.hatenablog.com/entry/2019/10/07/062031

 

ではそれぞれの応募期間とそのソースを書いておきます。

 

■パウパウコンピュータ 1985/3月下旬 ~ 1985/6/15 企業と広告 1985/4月号 P43

チャルメラファミコン 1986/1/1 ~ 1986/3/31 企業と広告 1986/2月号 P58

ファミコンキャリングBOX 1986/9/1 ~ 1986/11/30 企業と広告 1986/9月号 P48

■メッツライダー 1989/6/7 ~ 1989/8/5 Beverrage Japan 1989/9月号 P24

 

前回の調査でチャルメラファミコンが1/1付の新聞に広告として掲載されていたので「もしかして」とは思っていましたが、1/1からとは書いてありませんでした。今回で開始日が明文化されている記事を発見できて良かったです。

チャルメラファミコン

前回の調査 日本食糧新聞 1986/1/1 7面

今回紹介した懸賞品は有名すぎて入手が難しくなっていますが、こうやって知られていない情報を発掘するだけでも楽しかったりします。記事が掲載されていそうな本を推測して情報を探し当てるのもまたレトロゲームの醍醐味です。

オールナイトニッポンスーパーマリオブラザーズのプレゼントはあったのか? 後編

オールナイトニッポンスーパーマリオブラザーズ

過去のメルカリより

オールナイトニッポンスーパーマリオブラザーズ、調査報告2回目。一般認識としては3000本のプレゼント品とされていたが、その実態調査。

前回の記事ではオールナイトニッポンの放送記録が見つかり、2000本が抽選販売、ニッポン放送社屋での直販も有ったことが判った。果たしてプレゼントとして配られた事実はあるのだろうか・・・?

目次

今回の調査協力

・阿部@研究所 (@miyuki_lab)さん 中島みゆき研究所

・セーラーkozy (@sweets_kozy)さん
日本ビデオゲーム考古学会

課題であるプレゼントの調査再開

プレゼントの事実があったかどうか。情報が見つからずじまいになっているのでなんとしても探し出したい。

在京ラジオ局のニッポン放送は、任天堂の協力で、ファミコンソフト「オールナイトニッポンスーパーマリオブラザーズ」を開発した。

中略

一二月中旬以降、同番組の視聴者などへのプレゼント用などに使う予定。

日経流通新聞 1986年12月4日 11面

これは前回紹介したファミ通ファミマガと似たような内容で、おそらく12月4日情報解禁のプレスリリースかと思われる(12月4日放送の小泉今日子オールナイトニッポン ファミバカコーナーでANNマリオを初お披露目のため)。

上記のどの記事も販売情報は無かったが実際は売られている。ということはプレスリリースと事実が異なっているので、さらに深堀りする必要がある。

混乱は続く

週刊明星 1987/2/12号 No.7 P48

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皆さんはこの記事を覚えているだろうか。阿部@研究所さんに見せて頂いた切り抜き。掲載誌は不明だったがセーラーkozyさんがこの表紙を見つけてくださり、国会図書館で中身を確認、ヤフオクで実物を入手。雑誌は予想していなかった「週刊」明星。月刊ではなかった。

内容は前回お伝えした通り「限定3000本がたちまち売り切れ」。3000本全てを販売したと読み取れる。

ファミマガ 1990/6/22号 No.12

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あ、これが元かな。通説になってるプレゼント3000。ファミマガは当時よく読まれていたし、今でも比較的アクセスしやすいのでこれが参考にされた可能性は高い。

このコーナーではANNマリオの担当者にインタビューというかたちのマンガになっている。当事者の口からプレゼントという言葉が出た・・のか?週刊明星の記事とは整合性が取れない

販売情報からプレゼントを考察

ファミコン周辺機器専門の筆者はソフトに明るくないので、参考になりそうな本の調査協力をして頂いている。オールナイトニッポン版とはいえマリオはマリオ。マリオで探すと意外と見つかるらしいが、この発想は出せなかったので脱帽しきりだ。

ニンテンドードリーム

ニッポン放送(ラジオ局)の深夜番組20周年を記念して、1986年に発売したソフトです。

ニンテンドードリーム Vol.105 アンビット発行 2004年1月21号 P52

スーパーマリオ25周年記念ブック

1986年にラジオ番組『オールナイトニッポン』20周年を記念して限定販売された『オールナイトニッポンスーパーマリオブラザーズ』が実在した。

スーパーマリオ25周年記念ブック エンターブレイン発行 2010年 P39

スーパーマリオ百科

ニッポン放送とのコラボレーション。ラジオ番組「オールナイトニッポン」の当時のパーソナリティーが描かれたパッケージ。内容もアレンジされている。限定販売品。

スーパーマリオ百科 小学館発行 2015年 P239

2000年に入ると発売・限定販売という表現に変わっており、プレゼントの文字は無い。これはどういうことだろう。特筆すべきはスーパーマリオ25周年記念ブック発行はエンターブレインファミ通系)、ニンドリ発行とスーパーマリオ百科企画・編集がアンビット(ファミマガ系)だということだ。さらに、スーパーマリオ百科は「マリオ30周年の任天堂公式ガイドブック」と銘打っている。これはもう、時代が変わりANNマリオに関しての裏が取れているということだろうか。

停滞期間を経て

ここまで情報を集めたものの、90年までは3000本の内訳にプレゼントが入っていたような含みがあるし、2004年以降はプレゼントが無かった事になっている。さてどうしたものか。

 

そういえば90年ファミマガ No.12に出ていたANNマリオ担当者の存在、今までに目にしたことがなかった。お名前は中島誠一さん。何か情報はあるだろうか

はい、これで調査終了(笑

動画内で中島さんが全てを語ってくれている。動画投稿は2015年。なぜこんな貴重な動画が脚光を浴びていなかったのか不思議だ。スーパーマリオブラザーズ百科に名を連ねていたkikaiさん(マリオコレクターの第一人者)のツイートを拝見してこの動画に辿り着いた。

この「International GamerZ Interview」というチャンネルは中島さんのインタビューが5回に分けられており、それぞれ超貴重な証言をされている。ニッポン放送オールナイトニッポンの編成からポニーキャニオンのゲーム制作に異動し、家庭用ゲームの時代を幾つも創ってこられたお方。

ゼルダのテレホンサービス、ANNマリオ、ウルティマ、AD&D、光GENJIのローラーパニック、ロッピー、CD-iと聞いて興味が湧かない人は居ないだろう。詳しくは動画を観て頂きたい。できれば全動画を観た後に高評価、チャンネル登録をして欲しい。筆者はチャンネルの関係者ではないどころか製作者を知らないが、これはもっと世に広まるべき情報だと思っている。

個人的には夢工場'87の話題が出たついでにドキドキパニック、ソリドニア、アタックアニマル学園の話も聞きたかったところ。中島さんこそ知りたかった一連の情報を全て持っている唯一の当事者。なんとかインタビューできる機会はないものか。

謎のファミコンソフト「ソリドニア」を追え!

ソリドニア外伝 - アタックアニマル学園のひみつ

調査結果

さて、動画発見に興奮して脱線してしまったが、動画の内容をかいつまむとこんな感じ。

  • 3000本全て販売
  • 抽選通信販
  • 一部はニッポン放送社屋で販売。社屋の周りに3重くらいの列ができた
  • 非売品と言えるほどの数のプレゼントは無し

残りのお話はぜひ動画で確認してほしい。あんなに面白い話をここで書いてしまうのは野暮というもの

オールナイトニッポンスーパーマリオブラザーズまとめ

  • 3000本の限定販売
  • うち2000本は1986/12/15 ~ 12/19にANN番組内で告知、20日消印有効の抽選販売。代金2,600円と送料400円の計3,000円
  • 残り1000本が12/20よりニッポン放送内ミュージックセンター窓口で販売
  • ファミ通ファミマガでそれぞれ20本、計40本がプレゼントされた

さいごに

以上が調査を積み重ねてきた結果で、大量のプレゼントは無さそうという結論。ニッポン放送社屋での販売価格は依然不明なのと、プロモーション的な少数のプレゼント情報がまだ出てくるかもしれないが、筆者はここで調査終了を宣言する。

今後も自身で細かい発見をするかもしれないし、誰かが補完してくれるかもしれない。ただ、先人の偉大な研究や、当事者の証言、我々の調査が合わさって基礎は固められたと思っている。今後は更なる発展を望みつつ、この情報の発信に注力していきたい。

オールナイトニッポンスーパーマリオブラザーズのプレゼントはあったのか? 前編

f:id:bigafrodogg:20191104174651j:plain過去のメルカリより

オールナイトニッポンスーパーマリオブラザーズ。一般的には1986年12月に配布された非売品(抽選販売もあり?)とされているが、ネット上でも情報が錯綜、噂だけが一人歩きし高値更新を続ける人気ソフト。そんな状況を打破するべく調査をしているが、ある程度の新発見があったので中間報告をしたいと思う。とは言えまだまだ分からない事も多いので全てが解決した訳ではない。

本記事は調査記録も兼ねているので引用が多めになっている。★印の見出しが付いているところで要点を書いているので、概要だけ知りたい方はそこだけ拾い読みして頂いても構わない。

目次 

調査協力・資料提供(50音順)

・阿部@研究所 (@miyuki_lab)さん 中島みゆき研究所
・gponysさん 箱の隅っこゲーム資料
・セーラーkozy (@sweets_kozy)さん
日本ビデオゲーム考古学会
・らぐたろう (@RagRetro)さん

★ ネットでの認識

  • 非売品(プレゼント品)。抽選販売あり?
  • プレゼントとして3000本
  • 2回ほどニッポン放送数量限定販売。3500円
  • 通販の価格は3500円と2600円の説あり
  • 1986年12月12日発売

ネットを検索した限りではこんな感じで出てくるが、割とフワフワとした情報でいろんな説があるようだ。決定打となる1次ソースが見当たらない。オールナイトニッポンは深夜ラジオ番組のため、当時の放送を録音したカセットテープはほとんど残っていないのが原因だろう。当時のゲーム雑誌はというと、ソフトの入手方法はラジオを聞いてね!という案内(番組への誘導)だったため、あまり詳しい情報が書かれていない。こうした背景から、当時手に入れた人、ラジオを聞いた人の記憶や雑誌記事が合わさり半ば都市伝説として語り継がれているように見える。まだ隠された真実が存在する余地があるのだ。

キーワードを頼りに

非売品、3000本、抽選販売、ニッポン放送で販売、2600円、3500円、12月12日発売

火のないところに煙は立たないというが、この辺りのキーワードは実際にどこかで出てきた言葉だろう。考えられるのはラジオ放送と雑誌記事。まずは比較的アクセスしやすいゲーム雑誌から調査を開始

ユーゲー

オールナイトニッポン スーパーマリオブラザーズ

発売日:不明(86年にプレゼントされた)

ユーズド・ゲームズ 1997 Vol.5

 

以下、出典の雑誌は発売日を併記しているが、表紙に書かれている「発行日」とは違うので注意されたい

ファミマガ

1986/12/19発売号にて「オールナイトニッポン版のマリオが誕生したよ!」という見出しで特集を組んでいる。

ぜひ挑戦してみたいというキミ!まずはオールナイトニッポンを聞いてみてほしい。毎日番組中で、このゲームの紹介をしているんだよ。どうすれば、プレゼントの応募ができるのかは、番組を聞かないと教えてもらえないよ。

ただし、プレゼント以外にも手に入れるチャンスがあるそうだ。それは残念ながら秘密!! 詳しいことは、番組をよく聞くか、ニッポン放送に問い合わせてね。

ファミリーコンピュータマガジン 1987 No.1 (1986/12/19 金曜発売) P62

また、同じ号でファミマガ読者向けに20名プレゼントを行っていた。1987/1/15締切

 

ファミ通

1986/11/28発売 ファミ通 No.11 のファミ・バカコーナーでは 10/1 放送のオールナイトニッポン誕生20周年記念パーティーに触れていたが、オールナイトニッポン スーパーマリオブラザーズには言及なし。

ところで、来たる12月4日、午前1時からの放送は、必ず聞いていただきたい。なぜか?すごいプレゼント企画があるんですよ、実は。

12月4日

を、お忘れなく、では、今回はこの辺でー。

ファミコン通信 1986 No.13 (1986/11/28 金曜発売)  P79 ファミ・バカコーナー

12月4日(水) 小泉今日子オールナイトニッポンでプレゼント企画?

2号先の1987 No.1・2合併号で12/4放送にてオールナイトニッポン スーパーマリオブラザーズのテストプレイが行われたとあるが、ラジオでのプレゼントには言及なし。

小泉今日子オールナイトニッポン内ファミ・バカコーナーの誌上実況中継です。

〜 中略 〜

先号で詳しく説明したところの、『オールナイトニッポン スーパーマリオブラザーズ』のテストプレイに、田尻プロは挑戦しました。

ファミコン通信 1987 No.1・2合併号 (1986/12/26 金曜発売) P86 ファミ・バカコーナー

1号戻って、ファミコン通信 1986 No.14(1986/12/12 金曜発売)P100~103にてオールナイトニッポン スーパーマリオブラザーズの詳細が特集される。入手方法はラジオを聴いてくださいとの事。また、ファミ通読者向けに20名プレゼントを行っている。締切は12/25(木)、当選発表は87年4号のファミ・バカコーナーにて

オールナイトニッポンのスタッフ+リスナーで作られた、スーパーマリオ攻略ビデオ "マリオの大冒険" を生み出したのでした---というのが、'86年4月のこと。実は、その時点から、スタッフの間では、「これだけ生活に入り込んできたマリオとオールナイトニッポンを合体させるわけには、いかないのかなあ?」という声が聞こえるようになりました。そして同年10月1日には、オールナイトニッポンが放送開始以来20周年を迎えることだし

ファミコン通信 1986 No.14(1986/12/12 金曜発売)P100~103 ファミ・バカコーナー

そしてプレゼントの当選発表。ファミ通でのプレゼント20本に対して応募が3万

オールナイトニッポン スーパーマリオブラザーズ プレゼント当選者発表

ゲーッ、応募総数3万余通。当選された方、おめでとう。今年は、ツイてますよ、きっと。

ファミコン通信 1987 No.4 (1987/2/6 金曜発売) P95 ファミ・バカコーナー最終回

以上のようにゲーム誌では1986年12月中旬になって初めて言及されている。12/4のオールナイトニッポンが情報の初出、雑誌はその後追いで特集を組んだという事だろうか。先に引用したファミ通No.14では4月ごろから企画が立ち上がったように書いているが、12月までの8ヶ月間沈黙していたことになる。

★ ゲーム雑誌まとめ

オールナイトニッポン スーパーマリオブラザーズ情報の初出は12/4 小泉今日子オールナイトニッポン ファミ・バカコーナー?それに続くかたちでゲーム誌が特集を掲載。雑誌読者用に数十本のプレゼントあり。当選者には2月以降に届いたと思われる。

ファミ通 1986 No.13では12/4日のオールナイトニッポンでプレゼント企画があるとアナウンスしていたが、実際にプレゼントがあったのかは不明。

ラジオの調査協力をして頂く(中島みゆき)

さすがにこの頃になると、雑誌を調べて疲れているしラジオをじっと聴くのは体力の限界(笑) このタイミングでkozyさんから協力のお申し出を頂いた。

 

kozyさんにオールナイトニッポンを聴いて頂いたり、中島みゆき研究所の阿部さんに質問して頂いたり

 

 

なんと、そのものズバリの情報をお持ちで、しかも予想外の内容。12/15放送の告知はプレゼントではなく限定2,000名の抽選販売だった。

 

 

さらに阿部@研究所さんから雑誌記事を見せて頂くことができた

 

 

この記事には「限定3千本がたちまち売り切れ」と書いてある。先の2千本が抽選販売で残り千本がニッポン放送での直販だろうか?

紹介して頂いた記事は切り抜きで、どの雑誌なのかは分からないとの事。挿絵の「うおりゃー大橋」先生繋がりの雑誌を調べるも手掛かり無し。

  • 中学コース 各学年 1986/12 ~ 1987/6
  • 高校Vコース 各学年 1986/12 ~ 1987/6
  • 明星 1986/12 ~ 1987/6
  • 小学◯年生 各学年 1986/12 ~ 1987/6

上記雑誌を調べたが全滅。

とんねるずオールナイトニッポン

この日はさすがに3週連続で図書館に通い雑誌のページをひたすらめくる作業に疲れていた。図書館には行く気がしない。なので自宅で爪を切りながら、いちど聴いた放送を再度聴き直していた。前回はスキップしたり早送りしたりで聞き逃しがあったかもしれないからだ。阿部@研究所さんのお陰で12月の第3週に的を絞れたのが大きい。ちょうどその週の12/16放送、とんねるずオールナイトニッポンをダラダラと聴く。

ノリ: オールナイトニッポンのなんとですね、パーソナリティーが登場するスーパーマリオのですね、ディスクが出来たと。これ聞いてました?

タカ: 聞いてません

ノリ: ね。出来たんですね。

ノリ: このディスクが欲しいヤツはですね、往復はがきに住所氏名年齢電話番号と、「オールナイトニッポン スーパーマリオ希望」と書いてニッポン放送ミュージックセンター、スーパーマリオ係まで、12月20日消印までが有効です。当選者は返信ハガキが届き次第、現金書留で2600円と送り賃400円を送って頂きたい。

12月20日よりですね、ニッポン放送のミュージックセンター窓口でも売っているということなんで。

とんねるずオールナイトニッポン 1986/12/16(火)

ここで新情報。12/20にニッポン放送で直販!とんねるずはこの日初めて完成を知ったというのも聞き逃せない。

オールナイトニッポンまとめ

リスナーへのプレゼントはあったのだろうか?
発売日は?

ここまでで冒頭にも挙げた以下のキーワードはいくらか回収できた。

非売品、3000本、抽選販売、ニッポン放送で販売、2600円、3500円、12月12日発売

12/20応募締め切りの抽選販売(2600円)2000本というのは動かしようのない事実。

だが、3000本というのは残り1000本を別の機会に抽選販売したかもしれないし、直販の数かも知れない。3500円というのも同様、別の機会の販売価格の可能性はある。12/12発売という情報は得られなかった代わりに12/20の直販が現時点で最速の発売日と言って良いかも知れない。

ということで、非売品・3000本・3500円というのは宙に浮いたままだ。とりわけ非売品というのは、あるとすれば12/4の放送か1月以降だろうか。現時点ではプレゼントのプの字も無い。1月以降としたのは以下の理由から

12月25日と12月31日は特別番組でオールナイトニッポンがお休み

〜 中略 〜

12月18日の放送、これが実質的に'86年最後の放送となったわけです。

ファミコン通信 1987 No.3 (1987/1/23 金曜発売) P78, 79 ファミ・バカコーナー

gponysさんのウェブサイトに以下の記述があり、やはり追加で調査をしなければと思う次第。

中島みゆきオールナイトニッポン』の番組内で面白い内容の投稿はがきを書けた人(放送で採用された人?)はソフトをプレゼントされ、 そうでなかった場合は抽選で購入権が当たるものだったようです。なお通販の価格は3500円と2600円の説あり。 通販は2回あったという話もある

箱の隅っこゲーム資料 ファミコンディスクシステム資料集

★ 確定事項

  • 12/15 中島みゆき、12/16 とんねるずの放送で告知あり。この週は土曜日まで毎日告知があった可能性
  • 上記告知の内容: 抽選で2,000名に販売。12月20日消印有効。往復はがきに住所氏名年齢電話番号と「オールナイトニッポン スーパーマリオ希望」と書いてニッポン放送ミュージックセンター・スーパーマリオ係まで。当選者はディスク: 2,600円 / 送料: 400円の計3,000円を現金書留で送る
  • 12月20日よりニッポン放送のミュージックセンター窓口でも販売
  • 抽選販売、直販の事実が明確になったので「非売品という位置付けではなくなった」。特殊ルート限定販売 & (要調査)プレゼント品といったところだろうか
  • ファミ通で20本、ファミマガで20本をプレゼント(販売数に対して数が少なく、非売品の根拠とするには弱い)

※ これ以外の情報は不確定であり、リスナーへのプレゼントが有ったのかという情報すら今回は見つからなかった

★ 要調査事項

さいごに

やはりというか、本腰を入れて調査したものの解決には至らなかった。オールナイトニッポンの録音テープが残っていればすぐに解決するのかも知れないが、今回は中島みゆきとんねるずの放送のごく一部しか確認できなかった。

マスメディアに頼りたいところではあるが、ニッポン放送アーカイブにアクセスする手立ては無いし、一般開放されている放送ライブラリーにはほとんど置いていないようだ。もう「探偵ナイトスクープ」か「なんでも鑑定団」にお願いするしかない(笑

筆者のような素人にできる事と言えば、ゲーム雑誌、少年少女向けの雑誌全般、明星のような芸能誌、ラジオパラダイス・ラジオマガジン・オリコンWeeklyあたりを総当たりで読み漁るくらいだろうか。

とにかくある程度の方向性は出たのでぼちぼち再開する予定ではあるが、kozyさんや阿部@研究所さんの御助力なくして今回の進展は無く、もはや一人で手に負えるテーマではない。なのでこの調査が少しでも多くの方の目に留まり、新たな情報へ繋がることを祈りつつ、中間報告とさせて頂いた。

 

 

 

 

チャルメラとシーチキン

ファミコン界では、すごく有名なのに一次ソースが不明な物がたまにある。
今回はその中からチャルメラファミコンとシーチキンUツインファミコンの広告を発見したので紹介しようと思う。

チャルメラファミコン

f:id:bigafrodogg:20220324005404j:image日本食糧新聞 1986/1/1 7面

チャルメラ20周年記念のプレゼントで、賞品名はチャルメラファミコン4点セット。内容はファミコン本体、ディスクドライブ、RAMアダプタ、ディスクカード(新作おもしろゲーム:ゼルダの伝説)。1986/1/1〜3/31迄のキャンペーンで明星賞として1500名にプレゼントされた。

クイズ: チャ○○○は、愛されつづけて20年。

チャルメラファミコン知名度が非常に高く、上記の詳細はほぼ正確に語り継がれていた。しかし一次ソースは誰に聞いても分からない。そんな不思議な状態が続いていた。

過去にヘンリーさん(@henlyh)が調査をされていたが、10年ほど前に明星食品のウェブサイト、チャルメラ検定内で触れられていたらしい。インターネットアーカイブで確認するも、Flashで作成されていたためファイルが残っておらず。ヘンリーさんが当時残していたスクリーンショットを見せて頂く事ができた。その内容が自身のホームページ・TV-GAME館20xxに書かれており、信頼できる情報として広まっていたようだ。また少年誌や婦人誌には広告の掲載が無かったとの事。一方、HAZUKIさん(@studiohazuki)の調査では幼児雑誌や学年誌にも無かった。こういった先行調査なくして今回の発見には至らなかったわけなので、皆様の偉大な功績を忘れないためにも此処に記し敬意を表したい。

残念な事に雑誌広告やテレビCMは未だ見つかっていないので引き続き調査をしたい。

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朝日新聞 1986/1/13 夕刊 6面

シーチキンUツインファミコン

f:id:bigafrodogg:20220324013451j:image読売新聞 1987/4/1 夕刊3面

これはつい最近、非売品コレクターのじろのすけさん(@jironosuke99)によって賞品の実物が発掘された。

CMや文字のみの記事は見つけていたが、広告の方が一目で情報が分かるという理由で探していた。そして今回この新聞広告を発見。

さいごに

筆者が知っているだけでも詳細不明な物があと3つある。現在その内の1つを調査中で、経過をブログにまとめようと思っている。しかしながら公私共に多忙につき情報整理にまだまだ時間がかかりそうなのだ。その記事を出すまでの繋ぎではないが、今回のような地道な活動も記録に残しておきたいと思った次第である。

非売品ファミコン周辺機器&ハード 完全版その7

早いものでついに7回目となってしまいました。いつまで続けてるんだ、ぜんぜん完全版じゃないじゃないか!と言われそうです(笑) 筆者自身もう出てこないだろうと思ってたんですが、意外とあるものです。今回はカテゴリ別ではなく新たに発見した物を書いていきます

非売品ファミコン周辺機器&ハード 第1回
非売品ファミコン周辺機器&ハード 第2回
非売品ファミコン周辺機器&ハード 第3回
非売品ファミコン周辺機器&ハード 第4回
非売品ファミコン周辺機器&ハード 第5回
非売品ファミコン周辺機器&ハード 第6回

 

目次 

 

ナムコ カセットケース

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ナムコの情報誌NG、1985年8号でイラストを募集して10名にプレゼントされた物。さすがに10名は少な過ぎるので他のプレゼント企画やイベント等でも配られていたかもしれない。

追記: ナムコソフトのアンケートハガキを送ったら当たったという話を思い出しました。残念ながらハガキにはナムコグッズとしか書いてなかった記憶

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NG 1985年8号P30。 P22に10名との記述あり

シーチキンUツインファミコン

非売品コレクターのじろのすけさんが入手したツインファミコン。出処がはっきりしているプレゼント品なのでシールが貼ってあるだけでも我々コレクターは大喜びです^^ 今のところ赤のシーチキンUツインファミコンを確認。CM 47秒あたりから

- YouTube

文字の情報としては以下の通りで、1987年3月〜4月末の2ヶ月間の募集で1000名プレゼントでした。

はごろも缶詰(本社静岡県清水市、社長後藤康雄氏)は三月一日から四月末日まで「シーチキンU」の消費者キャンペーンを実施する。商品の知名度を高めるための販促企画で、簡単なクイズに答えた人の中から抽選で千人に、シャープの「ツインファミコン」をプレゼントする。

1987/02/26 日経流通新聞 13ページ

2022/03/09 追加

f:id:bigafrodogg:20220309154300j:image讀賣新聞 1987/4/1 夕刊3面

2023/2/7 入手

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デカチンメガネ

ファミマガ誌上で5名にプレゼント、とびだせメガネ限定版のデカチンメガネ。ネタか本気か分からないので当たったという人居たら教えてください!

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情報提供: オロチさん ファミマガ No.5 1987/3/20号 P64,76

キン肉マン ファミコンソフトケース

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情報提供: プラウドローさん 週刊少年ジャンプ 1986年5号

週刊少年ジャンプはまだ何かあるんじゃないかと思ってましたが、ファミコン神拳カセットケースに続きキン肉マンもプレゼントされてました。1000名なら多い気がしますが、実物を見たことはありません

スクウェア特製オリジナルゲームカセットホルダー

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BEEP 1989年1月号内広告

ファイナルファンタジーⅠ・Ⅱ全曲集の初回特典として配られたもの。組み立て式のプラスチックケースです

ポケットザウルスクイズワールド専用コントローラー

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未発売に終わったバンダイのディスクソフト、ポケットザウルスクイズワールドのコントローラー。サンプルソフトと共にコントローラーも発掘されないかと日々妄想しています

ネットワークアダプタ

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オークファンより

任天堂野村証券が提携しファミコン通信アダプタセットを開発しましたが、これはサービスインする前のテスト版。モニターを500名程度集めて実験をした時の物で、製品版とはまったく別の機器を使っていた。

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運良くこれのACアダプタとモジュラージャックが手に入りましたが、型番を見て驚きました。HVC-037, HVC-038。このHVCシリーズはファミコン本体の001から始まり、AVファミコン用のRFモジュレータの103まで続きました。しかし033 ~ 049までが欠番になっており、今回その一部である037と038を発見することができました。ひょっとしたらネットワークアダプタ関連で033 ~ 038が埋まるかも知れませんね。

ネットワークアダプタの詳細は別のエントリーで

モリガングのポケットファミコン

モリガング製のカセットケース金。おもちゃ屋でくじ引きをして当たったという証言多数ですが、資料の発掘は望み薄

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↑ 金のポケットファミコン。中はファミコンのミニチュアキーホルダー、外はカセットケースとして使えます

 

以上とりとめもなく羅列をしましたが、また新しい発見があり次第この連載を再開します。

トヨタのファミコン

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このブログをわざわざ見に来るようなコアな皆さんはシャープのファミコンをご存知ですよね。マイコンピュータテレビ(ファミコンテレビ)C1、ツインファミコンファミコンタイトラー。周知の通りこの辺りは歴としたファミコンの互換機です。
他にはセガのファミコンという迷フレーズがありますが、こちらもゲーム愛好家には有名な話。

ではトヨタファミコンはどうでしょう。

え、聞いたことない?
はい、私も聞いたことがありません!

ではこれはどうでしょう。

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元々の四角ボタンはグレーでしたが、損傷が酷かったので黒に交換しました

 アイシン?!

ベースはシャープC1コントローラーのようですが、見比べると違いがわかります。

表はSHARPのロゴ無し、裏はアイシン精機。。型番は数字の部分が違う

上のアイシンのコントローラー、SHARPのロゴが入っていない事からシャープ製品ではないと思うんですが、一体何なんでしょうか。

参考にシャープC1のコントローラーも貼っておきます

f:id:bigafrodogg:20210817231345j:imageシャープC1コントローラー(画像提供:ヘンリー浜川さん @henlyh

今回は早めに情報を募集しておきます。調査をして仮説(願望)は立てましたが、有力な証拠は見つからず。

アイシン精機のコントローラーで何かご存知の方、情報お待ちしてます!私は汗水垂らして調査に出かけましたが何も見つかりませんでした(笑

さて、

そもそもこれはメル某で手に入れたものですが、出品地域は愛知でした。愛知が今回のキーワードになります。愛知といえばトヨタトヨタといえばアイシン。東海地方以外の方にアイシンは馴染みがないかもしれないので少し書いておきます。

アイシン精機2021年4月 株式会社アイシンに統合)はトヨタグループの自動車部品メーカー。エンジン・トランスミッション・ブレーキ等を手掛け、トヨタ車=アイシンくらいの印象があります。他にもエネルギー関連や電動車椅子、同じ愛知の伊奈製陶(現・LIXIL)と共同開発したシャワートイレ等、多岐に渡る製品を開発しています。詳細は後述しますが、TOYOTAブランドを冠した家庭用品を販売したりもしていました。

ではいよいよ調査過程を書いていきましょう

ネット調査

 気になりすぎていつも通りネットで下調べをするんですが、これはどうしたものか。

「アイシン シャープ」で検索したら面白いものが出てきました。

アイシン精機 - Wikipedia

1980年代前半までは、シャープ製のカラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどを「TOYOTA」マークをつけて「トヨタ家庭用機器」として販売していた。 

ほほう、80年代製のシャープカラーテレビ。C1の販売時期と重なります

普段はWikipediaの情報を足がかりに裏を取ったり関連事項を調べたりするんですが、今回はほぼ情報がなく「トヨタ家庭用機器」に労力を全振りすることにしました。

トヨタファミコンという耳障りの良い言葉が頭に浮かんで、というのが本当の理由です(笑

 先にも引用したように、アイシン精機トヨタ家庭用機器という名前でシャープ製品の一部を販売していたようです。しかしトヨタ家庭用機器で検索しても全然情報がありません。とりあえず検索でヒットしたパンフレットは入手してみましたが、家電ではなく家具ばかりでした。他にもトヨタベッドやトヨタミシンなんてのもあったようです。

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家電カタログも見つかるといいんですけどねえ

ネット検索での調査には自信があるんですが、今回はここまでが精一杯でした。毎回ネットで完結しないでそろそろ関係者に当たれよ、という声が聞こえてきそうなので現地に行ってきましたよ。

現地調査

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アイシンコムセンター 愛知県刈谷市

アイシンコムセンターは企業説明、歴史展示、製品紹介をしている施設です。刈谷駅から徒歩15分。ここならトヨタ家庭用機器の展示もあるでしょう。

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トヨタミシン

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ここではTOYOTAブランド家電の成立ちに触れていますが、1967年以降はシャープのOEMトヨタ家庭用機器として扱っていたのでしょう。

展示から得られた情報はここまでですが、コントローラーの現物を持参したので受付で質問をし、後日回答を頂きました。しかしながら2013年まで販売網はあったものの、現在は資料もなく当時を覚えている人も残っていないとの事。

消化不良な調査でしたが、結果が出ないのは想定内。おもちゃ屋探索と同じく何も得られないのが普通の精神でやっています。ただ、調べた結果何もなかったというのは重要で、可能性を1つ1つ潰せばいつか発見に繋がると思っています。今のところ可能性を潰すというよりは暇を潰す遊びみたいな感じになってますが(もっと調査せねば

とはいえこれを読んでくださってる皆さんには申し訳ないので、ヤフオクで見つけたトヨタのテレビを貼っておきます。

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オークファンより

TOYOTAのロゴ、アイシン精機トヨタ家庭用機器、キーワード全部乗せ!

おそらくシャープのポータブルカラーテレビ CT-6003 のOEMでしょう。1982年グッドデザイン賞を受賞した製品です。

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CT-6003  オークファンより

とまあここまで調べて、トヨタ家庭用機器(アイシン精機)がシャープテレビのOEMTOYOTAブランドで販売していたのは間違いないでしょう。82年製の商品が見つかったので、トヨタ家庭用機器が83年製ファミコンテレビC1のOEMを扱っていてもおかしくはないという事になります。

TOYOTAロゴが冠されたファミコンテレビ・・・有るかもと思うとかなりワクワクしませんか? このコントローラーはそんな夢を見させてくれる代物です。愛知まで行って真夏のクソ暑い中歩いて何も収穫はありませんでしたが、ロマンを求めて動き回るのは結構楽しかったりします^^

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12/24 追記

シャープにも問い合わせましたが、そこまで古い情報は残っていないとの事。残念

ソリドニア外伝 - アタックアニマル学園のひみつ

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アタックアニマル学園のひみつ

ソリドニアの記事を書き終えて数日。

調査の結末はハッピーエンドかというと、そうではない。それに加えてウェディング・ズーというソフトは謎のままだし、似ていると言われているアタックアニマル学園との関係性もはっきりしていない。

それならせめてアタックアニマル学園だけでも掘り下げて整理してみようと思う。

 

怪しい伝説

ソリドニア推理編でアタックアニマル学園について少し触れたが、開発はスクウェアだという伝説がある。

筆者としてはその説を否定するスタンスではいるが、否定するにはいまいち根拠に乏しいと感じていた。まずはそこから攻めてみよう

 

噂の数々

「アタックアニマル学園 スクウェア」で検索するとこんな噂が聞こえてくる。

 

2000年代まではこの説が主流だったようだ。理由として、アタックアニマル学園のスタッフロールには「PRODUCE NEWTOPIA PLANNING」とあるだけで、開発元は明かされていない。

ニュートピア・プランニング - プロデュースという言葉や、名前の「プランニング」からしてゲームのプランナーという立ち位置だったのではと思われる。

どこが開発したか分からない状況に加えてスタッフは実名が伏せられている*1ので、開発者を推測する余地があった。そこに「とびだせ大作戦」をプログラムしたナーシャ・ジベリ氏案が浮上して、スクウェア開発説に繋がったのではないかと思われる。

しかしスクウェアだという決定的な根拠はどこにも見当たらず。どこから広まったのかすら見当が付かない。 

*1 OTOHSAN、SHANG HAI KING 等

 

スタッフの実名が伏せられる理由

 

スクウェアではない理由

これは新発見!ではなくすでに何名か指摘している方もいるし、Wikiにもそう書いてある。開発会社はサイトロン・アンド・アート。(以下サイトロン

Wikiに書いてあるのは気付いていたが、ソースが不明だったために前回の記事では言及を控えた。

改めて「アタックアニマル学園 開発」で検索してみると・・・

532 :ゲーム好き名無しさん:2008/12/20(土) 23:51:52 id:LjVUwu6+0

ttp://www.ga-core.net/special/sp01-02.php#05
サイトロンにはソフト開発部があったんですけど、自社発売のソフト以外にも、
>開発を担当したソフトもありましたね。『サンリオカーニバル』、『アタックアニマル学園』、『オトッキー』とか。
アニマルがスクウェア製という話がますますよくわからなくなってきた
そもそもいつのまにか広まっていたこの話はどこから出てきたのか・・・まだ共同開発の線はあるけど

引用:デベロッパー、開発部署、開発者スレッド7

 URLを辿るとサイトロンとアタックアニマル学園について何か書いてあるようだ。

この記事は大野善寛氏の経歴をインタビューしたもので、サイトロンについても語っている。

安藤: ええ、サイトロンにはソフト開発部があったんですけど、自社発売のソフト以外にも、開発を担当したソフトもありましたね。『サンリオカーニバル』、『アタックアニマル学園』、『オトッキー』とか。

引用:大野善寛インタビュー 前編 ゲームミュージック&アニメ専門店 ga-core - ジーエー・コア - (アーカイブ)

インタビューの途中ではサイトロンのディレクター・安藤氏がソフト開発部について言及。2008年に初めてアタックアニマル学園の開発元がサイトロンだという事が公になったようだ。

 

あさっての方向へホットスクランブル

アタックアニマル学園の開発はサイトロンに落ち着いたのも束の間

533 :ゲーム好き名無しさん:2008/12/21(日) 08:36:53 ID:7KxZEooC0
>>532
あー!やっと、自分の中で謎が完全に解けたわ。

『アタックアニマル学園』スクウェア開発説は、
『JJ』あるいは『飛びだせ大作戦』にそっくりだから、
ナーシャ・ジベリ開発説が転じてスクウェア開発説となって流布されていたんだが、

実の所、ソースの雛形は『機動戦士Zガンダム ホットスクランブル』の3Dパートだったわけだ。

534 :ゲーム好き名無しさん:2008/12/21(日) 08:49:41 ID:7KxZEooC0『アタックアニマル学園』はサイトロンとゲームスタジオの共同開発説を提唱。

 引用:デベロッパー、開発部署、開発者スレッド7

ソースの雛形は『機動戦士Zガンダム ホットスクランブル』の3Dパート?

ゲームスタジオとの共同開発??

 

アタックアニマル学園とホットスクランブルを結びつけるのは流石に無理があるでしょう(汗) 3Dフィールドは似てるけども。

でもそれを言い出したらスペースハリアーやとびだせ大作戦も似ているので話が逆戻りしてしまう。ホットスクランブル説はきっと何か根拠があるのだろう。 


機動戦士Zガンダム ホットスクランブル


ファミコン アタックアニマル学園 プレイ動画

 

画面を眺めていても埒が明かないので、まずはサイトロンとゲームスタジオから手を付けてみる。

1986年 小尾一介が独立し、遠藤雅伸の「ゲームスタジオ」のメンバーと合流してサイトロン・アンド・アート株式会社を設立。代表取締役:小尾一介(資本金100万円 東京港区) 。

引用: サイトロン・アンド・アート - Wikipedia

なるほど、サイトロン設立時にゲームスタジオのメンバーが合流。というか遠藤氏、おもいっきりホットスクランブルの人だ・・・

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Zガンダム ホットスクランブル ファミコン チラシ - オークファン

では誰がゲームスタジオからサイトロンへ移籍したのだろうか。

小尾 ナムコ脱藩組の中から、6人くらいじゃないかな? 元ナムコ遠藤雅伸くん(*05)とか。

大野 黒須一雄さん(*06)もいらっしゃいましたね。

――それでは、映像がやりたいということで、「サイトロン・アンド・アート」が作られたと。

引用: ビデオゲームミュージックの父 小尾一介氏×大野善寛氏ダブルインタビュー 中編 | ゲーム文化保存研究所

 ざっくりと6人ほどだったようだ。また、インタビューの中でゲームスタジオとサイトロンは「フロア違いの同ビル内にあり、ともに良い影響を与え合っていた。」「兄弟会社みたいな感じ」とある。

アタックアニマル学園はサイトロン単独開発・ゲームスタジオ共同開発、どちらの線でも有り得る話になってきた。

 

ホットスクランブルの開発はどんな感じだったのだろう

ここに遠藤氏の開発秘話が掲載されている

遠藤氏:その頃のゲームの形は、これ(ファイナル版)ですよ!「思いっきり3Dだよ、本気で3Dやろうぜ!」って。

その時にコクピット視点の宇宙戦ゲームを試作してたりするんですよ。これが今でもROMあるんで遊ぼうと思えば遊べるんですけど。液晶シャッター使った3Dで。ホント3D計算してて。こう、立体的に見えて。パースを付けた敵機を左右の視差込みで作って。このことをプログラマーがやってて。すごいねーって。

引用: 機動戦士ガンダム 戦士達の軌跡 (アーカイブ)

・・・情報量多いけど まとめると

  • 最初に構想していたものはファイナル版として配布
  • 試作として3D宇宙戦ゲームのROMを作成。液晶シャッターを使う

当初出来上がったもの(後のファイナル版)はテスターの小学生にとって難易度が高く、評判がイマイチだったようだ。バンダイの判断で改良&2D面が追加され製品版として販売。

しかしこの時点(1986年)で3Dメガネを使ったゲームを試作していたとは・・・

これはウェディング・ズーとかアタックアニマル学園に繋がるのではないだろうか?

 

ノッコとファの秘密の関係

では実際どのくらいのスタッフが両作品に関わっているのだろうか?

先にも挙げた通り、実名で出ているスタッフが少ないので推測で進めるしかない。まずは3D担当を見てみよう

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3Dディスプレイプログラム: ヒロリン島岡

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ゲームプログラム: 島岡 弘

 

おそらく同一人物(汗

この島岡弘氏こそが遠藤氏と共に試作の3D宇宙戦を作ったのではないだろうか。

ちなみにホットスクランブルの方には「セカンド・ユニット・ゲーム・プログラム」というクレジットもあるが、これはおそらくバンダイ経営判断で追加となった2D面のプログラマーと推測。

 

他には

内藤智氏? KNIGHT = 内藤

  • セカンド・ユニット・ゲーム・デザイン:THOMAS AKYND KNIGHT(内藤智)
  • プロフェッショナル・ウォッチャー:PENPAL KNIGHT

関塚典弘氏? 典弘 = NORILIN

  • スペースフォートレス、ファ・ユイリィ・CGアシスト:関塚典弘
  • コスチューム・オブ・ノッコ:SAILOR NORILIN

この辺りが同一人物と見受けられ、アタックアニマル学園の主人公ノッコとZガンダムのヒロイン、ファ・ユイリィの関係をクローズアップできそうだ。

 

件の島岡弘氏について

今回の重要なキーパーソンになりそうな島岡氏。

当初は HIROSHI SHIMAOKA というクレジット以外は漢字すら分からなかったので、日本ビデオゲーム考古学会に協力を仰いだ。

その調査結果がこちら

428 :デフォルトの名無しさん:2016/04/03(日) 21:47:29.31 ID:2hoiGC6I.netその昔、ナムコのゲーム開発部隊では、OSを作っていたのが二人いたそうだ。
苦心惨憺の末、ギャラガというゲームを作ったライトサイドプログラマー
の大森田氏。一方、ダークサイドプログラマーとして名高い島岡弘氏。
今ではコンパイラ作りの情報はありふれているが、やはり、当時としては
相当凄かったらしく、一目置かれていたとか。

引用: 「コンパイラ・スクリプトエンジン」相談室16

大森田不可止氏と肩を並べる島岡弘氏。

どうやら ナムコ → ゲームスタジオ の流れのようだ。サイトロンへ移籍したかどうかは不明。

 

 まとめ

  • アタックアニマル学園、開発はスクウェアではなくサイトロン(ゲームスタジオは未確定)
  • アタックアニマル学園、ホットスクランブルに共通のスタッフがいる
  • 両作の3D担当は島岡弘氏
  • この流れでウェディング・ズーにも関わっていそう
  • ノッコとファの関係が怪しい
  • ゲームスタジオの会報第1号を読みたい

 

今後の課題

  • サイトロン・アンド・アートのメンバー調査
  • ゲームスタジオはアタックアニマル学園の制作に関わっていたかどうか
  • 3D宇宙戦ゲーム、ウェディング・ズー、アタックアニマル学園の関係

 

さいごに

今回は限られた情報の中で推測をするしかなく、あくまで筆者の想像です。ですので内容を保証するものではありませんが、識者や関係者の目に留まり、真実が明かされることを期待しながら執筆しました。

アタックアニマル学園と機動戦士Zガンダムホットスクランブルが繋がってしまうという破天荒な展開になりましたが、某掲示板の先人達のように、すでに察知していた方もいらっしゃると思います。もし何か気付いたことやご指摘がございましたら、こちらのコメント欄かTwitter @BigAfroDogg までご一報頂けると幸いです。

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あいかわらずハッピーエンドではない。