アタックアニマル学園のひみつ
ソリドニアの記事を書き終えて数日。
調査の結末はハッピーエンドかというと、そうではない。それに加えてウェディング・ズーというソフトは謎のままだし、似ていると言われているアタックアニマル学園との関係性もはっきりしていない。
それならせめてアタックアニマル学園だけでも掘り下げて整理してみようと思う。
怪しい伝説
ソリドニア推理編でアタックアニマル学園について少し触れたが、開発はスクウェアだという伝説がある。
筆者としてはその説を否定するスタンスではいるが、否定するにはいまいち根拠に乏しいと感じていた。まずはそこから攻めてみよう
噂の数々
「アタックアニマル学園 スクウェア」で検索するとこんな噂が聞こえてくる。
2000年代まではこの説が主流だったようだ。理由として、アタックアニマル学園のスタッフロールには「PRODUCE NEWTOPIA PLANNING」とあるだけで、開発元は明かされていない。
ニュートピア・プランニング - プロデュースという言葉や、名前の「プランニング」からしてゲームのプランナーという立ち位置だったのではと思われる。
どこが開発したか分からない状況に加えてスタッフは実名が伏せられている*1ので、開発者を推測する余地があった。そこに「とびだせ大作戦」をプログラムしたナーシャ・ジベリ氏案が浮上して、スクウェア開発説に繋がったのではないかと思われる。
しかしスクウェアだという決定的な根拠はどこにも見当たらず。どこから広まったのかすら見当が付かない。
*1 OTOHSAN、SHANG HAI KING 等
スタッフの実名が伏せられる理由
1980年代ゲーム会社の
— 藤田晴美 FUJITA HARUMI (@soundfujita) 2020年9月24日
引き抜き合戦は
凄まじいものがありましたね
なのでエンディングロールに
実名を出してはいけないと
言われてた
その引き抜きの作戦って
ほんと赤裸々には語れない
そこまでやるか!ってのも
聞いたことあります。
いまでもやはり
あるんですかね
そのへんは自由になったのかな
スクウェアではない理由
これは新発見!ではなくすでに何名か指摘している方もいるし、Wikiにもそう書いてある。開発会社はサイトロン・アンド・アート。(以下サイトロン)
Wikiに書いてあるのは気付いていたが、ソースが不明だったために前回の記事では言及を控えた。
改めて「アタックアニマル学園 開発」で検索してみると・・・
532 :ゲーム好き名無しさん:2008/12/20(土) 23:51:52 id:LjVUwu6+0
ttp://www.ga-core.net/special/sp01-02.php#05
>サイトロンにはソフト開発部があったんですけど、自社発売のソフト以外にも、
>開発を担当したソフトもありましたね。『サンリオカーニバル』、『アタックアニマル学園』、『オトッキー』とか。
アニマルがスクウェア製という話がますますよくわからなくなってきた
そもそもいつのまにか広まっていたこの話はどこから出てきたのか・・・まだ共同開発の線はあるけど
URLを辿るとサイトロンとアタックアニマル学園について何か書いてあるようだ。
この記事は大野善寛氏の経歴をインタビューしたもので、サイトロンについても語っている。
安藤: ええ、サイトロンにはソフト開発部があったんですけど、自社発売のソフト以外にも、開発を担当したソフトもありましたね。『サンリオカーニバル』、『アタックアニマル学園』、『オトッキー』とか。
引用:大野善寛インタビュー 前編 ゲームミュージック&アニメ専門店 ga-core - ジーエー・コア - (アーカイブ)
インタビューの途中ではサイトロンのディレクター・安藤氏がソフト開発部について言及。2008年に初めてアタックアニマル学園の開発元がサイトロンだという事が公になったようだ。
あさっての方向へホットスクランブル
アタックアニマル学園の開発はサイトロンに落ち着いたのも束の間
533 :ゲーム好き名無しさん:2008/12/21(日) 08:36:53 ID:7KxZEooC0
>>532
あー!やっと、自分の中で謎が完全に解けたわ。
『アタックアニマル学園』スクウェア開発説は、
『JJ』あるいは『飛びだせ大作戦』にそっくりだから、
ナーシャ・ジベリ開発説が転じてスクウェア開発説となって流布されていたんだが、
実の所、ソースの雛形は『機動戦士Zガンダム ホットスクランブル』の3Dパートだったわけだ。
534 :ゲーム好き名無しさん:2008/12/21(日) 08:49:41 ID:7KxZEooC0『アタックアニマル学園』はサイトロンとゲームスタジオの共同開発説を提唱。
ソースの雛形は『機動戦士Zガンダム ホットスクランブル』の3Dパート?
ゲームスタジオとの共同開発??
アタックアニマル学園とホットスクランブルを結びつけるのは流石に無理があるでしょう(汗) 3Dフィールドは似てるけども。
でもそれを言い出したらスペースハリアーやとびだせ大作戦も似ているので話が逆戻りしてしまう。ホットスクランブル説はきっと何か根拠があるのだろう。
画面を眺めていても埒が明かないので、まずはサイトロンとゲームスタジオから手を付けてみる。
1986年 小尾一介が独立し、遠藤雅伸の「ゲームスタジオ」のメンバーと合流してサイトロン・アンド・アート株式会社を設立。代表取締役:小尾一介(資本金100万円 東京港区) 。
なるほど、サイトロン設立時にゲームスタジオのメンバーが合流。というか遠藤氏、おもいっきりホットスクランブルの人だ・・・
Zガンダム ホットスクランブル ファミコン チラシ - オークファン
では誰がゲームスタジオからサイトロンへ移籍したのだろうか。
小尾 ナムコ脱藩組の中から、6人くらいじゃないかな? 元ナムコの遠藤雅伸くん(*05)とか。
大野 黒須一雄さん(*06)もいらっしゃいましたね。
――それでは、映像がやりたいということで、「サイトロン・アンド・アート」が作られたと。
ざっくりと6人ほどだったようだ。また、インタビューの中でゲームスタジオとサイトロンは「フロア違いの同ビル内にあり、ともに良い影響を与え合っていた。」「兄弟会社みたいな感じ」とある。
アタックアニマル学園はサイトロン単独開発・ゲームスタジオ共同開発、どちらの線でも有り得る話になってきた。
ホットスクランブルの開発はどんな感じだったのだろう
ここに遠藤氏の開発秘話が掲載されている
遠藤氏:その頃のゲームの形は、これ(ファイナル版)ですよ!「思いっきり3Dだよ、本気で3Dやろうぜ!」って。
その時にコクピット視点の宇宙戦ゲームを試作してたりするんですよ。これが今でもROMあるんで遊ぼうと思えば遊べるんですけど。液晶シャッター使った3Dで。ホント3D計算してて。こう、立体的に見えて。パースを付けた敵機を左右の視差込みで作って。このことをプログラマーがやってて。すごいねーって。
・・・情報量多いけど まとめると
- 最初に構想していたものはファイナル版として配布
- 試作として3D宇宙戦ゲームのROMを作成。液晶シャッターを使う
当初出来上がったもの(後のファイナル版)はテスターの小学生にとって難易度が高く、評判がイマイチだったようだ。バンダイの判断で改良&2D面が追加され製品版として販売。
しかしこの時点(1986年)で3Dメガネを使ったゲームを試作していたとは・・・
これはウェディング・ズーとかアタックアニマル学園に繋がるのではないだろうか?
ノッコとファの秘密の関係
では実際どのくらいのスタッフが両作品に関わっているのだろうか?
先にも挙げた通り、実名で出ているスタッフが少ないので推測で進めるしかない。まずは3D担当を見てみよう
3Dディスプレイプログラム: ヒロリン島岡
ゲームプログラム: 島岡 弘
おそらく同一人物(汗
この島岡弘氏こそが遠藤氏と共に試作の3D宇宙戦を作ったのではないだろうか。
ちなみにホットスクランブルの方には「セカンド・ユニット・ゲーム・プログラム」というクレジットもあるが、これはおそらくバンダイの経営判断で追加となった2D面のプログラマーと推測。
他には
内藤智氏? KNIGHT = 内藤
- セカンド・ユニット・ゲーム・デザイン:THOMAS AKYND KNIGHT(内藤智)
- プロフェッショナル・ウォッチャー:PENPAL KNIGHT
関塚典弘氏? 典弘 = NORILIN
- スペースフォートレス、ファ・ユイリィ・CGアシスト:関塚典弘
- コスチューム・オブ・ノッコ:SAILOR NORILIN
この辺りが同一人物と見受けられ、アタックアニマル学園の主人公ノッコとZガンダムのヒロイン、ファ・ユイリィの関係をクローズアップできそうだ。
件の島岡弘氏について
今回の重要なキーパーソンになりそうな島岡氏。
当初は HIROSHI SHIMAOKA というクレジット以外は漢字すら分からなかったので、日本ビデオゲーム考古学会に協力を仰いだ。
その調査結果がこちら
428 :デフォルトの名無しさん:2016/04/03(日) 21:47:29.31 ID:2hoiGC6I.netその昔、ナムコのゲーム開発部隊では、OSを作っていたのが二人いたそうだ。
苦心惨憺の末、ギャラガというゲームを作ったライトサイドプログラマー
の大森田氏。一方、ダークサイドプログラマーとして名高い島岡弘氏。
今ではコンパイラ作りの情報はありふれているが、やはり、当時としては
相当凄かったらしく、一目置かれていたとか。
大森田不可止氏と肩を並べる島岡弘氏。
どうやら ナムコ → ゲームスタジオ の流れのようだ。サイトロンへ移籍したかどうかは不明。
まとめ
- アタックアニマル学園、開発はスクウェアではなくサイトロン(ゲームスタジオは未確定)
- アタックアニマル学園、ホットスクランブルに共通のスタッフがいる
- 両作の3D担当は島岡弘氏
- この流れでウェディング・ズーにも関わっていそう
- ノッコとファの関係が怪しい
- ゲームスタジオの会報第1号を読みたい
今後の課題
- サイトロン・アンド・アートのメンバー調査
- ゲームスタジオはアタックアニマル学園の制作に関わっていたかどうか
- 3D宇宙戦ゲーム、ウェディング・ズー、アタックアニマル学園の関係
さいごに
今回は限られた情報の中で推測をするしかなく、あくまで筆者の想像です。ですので内容を保証するものではありませんが、識者や関係者の目に留まり、真実が明かされることを期待しながら執筆しました。
アタックアニマル学園と機動戦士Zガンダムホットスクランブルが繋がってしまうという破天荒な展開になりましたが、某掲示板の先人達のように、すでに察知していた方もいらっしゃると思います。もし何か気付いたことやご指摘がございましたら、こちらのコメント欄かTwitter @BigAfroDogg までご一報頂けると幸いです。
あいかわらずハッピーエンドではない。