オールナイトニッポンスーパーマリオブラザーズ、調査報告2回目。一般認識としては3000本のプレゼント品とされていたが、その実態調査。
前回の記事ではオールナイトニッポンの放送記録が見つかり、2000本が抽選販売、ニッポン放送社屋での直販も有ったことが判った。果たしてプレゼントとして配られた事実はあるのだろうか・・・?
目次
今回の調査協力
・阿部@研究所 (@miyuki_lab)さん 中島みゆき研究所
・セーラーkozy (@sweets_kozy)さん
・日本ビデオゲーム考古学会
課題であるプレゼントの調査再開
プレゼントの事実があったかどうか。情報が見つからずじまいになっているのでなんとしても探し出したい。
在京ラジオ局のニッポン放送は、任天堂の協力で、ファミコンソフト「オールナイトニッポン・スーパーマリオブラザーズ」を開発した。
中略
一二月中旬以降、同番組の視聴者などへのプレゼント用などに使う予定。
日経流通新聞 1986年12月4日 11面
これは前回紹介したファミ通やファミマガと似たような内容で、おそらく12月4日情報解禁のプレスリリースかと思われる(12月4日放送の小泉今日子オールナイトニッポン ファミバカコーナーでANNマリオを初お披露目のため)。
上記のどの記事も販売情報は無かったが実際は売られている。ということはプレスリリースと事実が異なっているので、さらに深堀りする必要がある。
混乱は続く
週刊明星 1987/2/12号 No.7 P48
皆さんはこの記事を覚えているだろうか。阿部@研究所さんに見せて頂いた切り抜き。掲載誌は不明だったがセーラーkozyさんがこの表紙を見つけてくださり、国会図書館で中身を確認、ヤフオクで実物を入手。雑誌は予想していなかった「週刊」明星。月刊ではなかった。
内容は前回お伝えした通り「限定3000本がたちまち売り切れ」。3000本全てを販売したと読み取れる。
ファミマガ 1990/6/22号 No.12
あ、これが元かな。通説になってるプレゼント3000。ファミマガは当時よく読まれていたし、今でも比較的アクセスしやすいのでこれが参考にされた可能性は高い。
このコーナーではANNマリオの担当者にインタビューというかたちのマンガになっている。当事者の口からプレゼントという言葉が出た・・のか?週刊明星の記事とは整合性が取れない
販売情報からプレゼントを考察
ファミコン周辺機器専門の筆者はソフトに明るくないので、参考になりそうな本の調査協力をして頂いている。オールナイトニッポン版とはいえマリオはマリオ。マリオで探すと意外と見つかるらしいが、この発想は出せなかったので脱帽しきりだ。
ニッポン放送(ラジオ局)の深夜番組20周年を記念して、1986年に発売したソフトです。
ニンテンドードリーム Vol.105 アンビット発行 2004年1月21号 P52
スーパーマリオ25周年記念ブック
1986年にラジオ番組『オールナイトニッポン』20周年を記念して限定販売された『オールナイトニッポンスーパーマリオブラザーズ』が実在した。
スーパーマリオ百科
ニッポン放送とのコラボレーション。ラジオ番組「オールナイトニッポン」の当時のパーソナリティーが描かれたパッケージ。内容もアレンジされている。限定販売品。
2000年に入ると発売・限定販売という表現に変わっており、プレゼントの文字は無い。これはどういうことだろう。特筆すべきはスーパーマリオ25周年記念ブック発行はエンターブレイン(ファミ通系)、ニンドリ発行とスーパーマリオ百科企画・編集がアンビット(ファミマガ系)だということだ。さらに、スーパーマリオ百科は「マリオ30周年の任天堂公式ガイドブック」と銘打っている。これはもう、時代が変わりANNマリオに関しての裏が取れているということだろうか。
停滞期間を経て
ここまで情報を集めたものの、90年までは3000本の内訳にプレゼントが入っていたような含みがあるし、2004年以降はプレゼントが無かった事になっている。さてどうしたものか。
そういえば90年ファミマガ No.12に出ていたANNマリオ担当者の存在、今までに目にしたことがなかった。お名前は中島誠一さん。何か情報はあるだろうか
はい、これで調査終了(笑
動画内で中島さんが全てを語ってくれている。動画投稿は2015年。なぜこんな貴重な動画が脚光を浴びていなかったのか不思議だ。スーパーマリオブラザーズ百科に名を連ねていたkikaiさん(マリオコレクターの第一人者)のツイートを拝見してこの動画に辿り着いた。
https://t.co/Ce4qj9e367
— kikai / マリオが好きなひと (@kikaim) 2016年2月28日
「International GamerZ Interview」という動画シリーズが始まったみたいです。第一回はニッポン放送の中島誠一さん。オールナイト版スーパーマリオや攻略ビデオの制作経緯など興味深い話も
この「International GamerZ Interview」というチャンネルは中島さんのインタビューが5回に分けられており、それぞれ超貴重な証言をされている。ニッポン放送オールナイトニッポンの編成からポニーキャニオンのゲーム制作に異動し、家庭用ゲームの時代を幾つも創ってこられたお方。
ゼルダのテレホンサービス、ANNマリオ、ウルティマ、AD&D、光GENJIのローラーパニック、ロッピー、CD-iと聞いて興味が湧かない人は居ないだろう。詳しくは動画を観て頂きたい。できれば全動画を観た後に高評価、チャンネル登録をして欲しい。筆者はチャンネルの関係者ではないどころか製作者を知らないが、これはもっと世に広まるべき情報だと思っている。
個人的には夢工場'87の話題が出たついでにドキドキパニック、ソリドニア、アタックアニマル学園の話も聞きたかったところ。中島さんこそ知りたかった一連の情報を全て持っている唯一の当事者。なんとかインタビューできる機会はないものか。
調査結果
さて、動画発見に興奮して脱線してしまったが、動画の内容をかいつまむとこんな感じ。
残りのお話はぜひ動画で確認してほしい。あんなに面白い話をここで書いてしまうのは野暮というもの
オールナイトニッポンスーパーマリオブラザーズまとめ
- 3000本の限定販売
- うち2000本は1986/12/15 ~ 12/19にANN番組内で告知、20日消印有効の抽選販売。代金2,600円と送料400円の計3,000円
- 残り1000本が12/20よりニッポン放送内ミュージックセンター窓口で販売
- ファミ通、ファミマガでそれぞれ20本、計40本がプレゼントされた
さいごに
以上が調査を積み重ねてきた結果で、大量のプレゼントは無さそうという結論。ニッポン放送社屋での販売価格は依然不明なのと、プロモーション的な少数のプレゼント情報がまだ出てくるかもしれないが、筆者はここで調査終了を宣言する。
今後も自身で細かい発見をするかもしれないし、誰かが補完してくれるかもしれない。ただ、先人の偉大な研究や、当事者の証言、我々の調査が合わさって基礎は固められたと思っている。今後は更なる発展を望みつつ、この情報の発信に注力していきたい。